[ 天の鳥船庵だより ブログアーカイブ・2007年6月〜2015年1月 ]

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2011年07月30日

夢から知る怒りの対処の仕方4副題:怒りを教師にする

*怒りは上下関係があるところに生まれる

夫の怒りのパターンを見ていく前に、
私が知っている怒りについてお話ししましょう。
わたしが子供の時に親から怒りについて言われたことは、
「怒ってはいけない」というそれだけでした。
どうして怒ってはいけないかとか、
怒りはどう処理したら良いのかとか、
怒って良い場合と悪い場合があるというのもありません。
ただ、「怒ってはいけない」というそれだけです。
怒ることのない平安な心の持ち主こそ、
上等な人間なのだと、
言外に言われたような感じです。

これは子供にとっては大変な苦痛です。
実家は使用人を含めて常時15,6人はいる大所帯でしたから、
人間関係の摩擦は至る所にありました。
それなのに、
怒りはこの家の中には存在せず、
毎日平和に過ごしていると、
思うようにしなければならなかったからです。
今になると信じがたい話しですが、
祖父が咳払いすると、
一家全員はシンと静まり返るような規律正しい家でした。

権力者がすべての実権を握って、
統制のとれた規律正しい生活をしていることが、
祖父にとっては何よりの誇りだったのでしょう。

何故こんなことを取り立ててお話しするかというと、
統制する者としない者という関係を、
自分以外のものと結ばなければならない環境にあると、
必ずそこに怒りが生じます。
自分の心の要求や願いは脇に置いて、
統制する者の意向を尊重しなければならないからです。
自分の欲求や願望は、
生まれたての赤ちゃんから、
命を閉じる瞬間を迎えるものまで、
生きているものはすべて、
当然の権利として持っていたいものです。
それなのに、意志力を振るえるものと振るわれるものの関係は、
簡単に膠着したものになります。
自分の願いを自分が実現するのではなく、
他人の願いを自分のもののように行動していくなんて、
自分の本来の在り方からは、あり得ない。
望みたくもないことなのに、
しっかり結ばれたこの力関係は、
かえって緊張感を和らげ(?!)、生きやすいと誤解させます。

難問に、苦労して自分の責任だけで結論を出すこともありません。
路頭に迷うこともありません。
命を脅かされることもない代わり、
感情を感じることを自分であきらめ、
生き生き生きることを放棄するのです。

これは一見夫のトラウマの原因とは異質に感じられますが、
力あるものとないもの、
親と子の関係は意志の疎通が図れなければ、
同じと考えても、差し支えないでしょう。
さらに言えば、
ステイタスの有無も同じはたらきがありますから、
だいぶ平等になったいまの社会でも、
この力関係はしっかり存在しています。


posted by 天の鳥船庵 at 18:15 | 夢のメッセージの取り方

2011年07月28日

夢から知る怒りの対処の仕方3副題:怒りを教師にする

*トラウマにさわる日常の出来事

彼がイラついて怒っていたのは、
わたしが不用意に机の角に頭をぶつけたり、
物を落としたり、
包丁で指を切ったりという、
本当に些細なことが次から次と起こることに耐えられないからでした。

わたしにしてみたら、唖然呆然、
そんなこと何処にでもあることで、
大したことじゃないわ!
と言い返したい気分になったものです。
わたしのそうした不用意なおっちょこちょいが、
彼には、
小さなころの妹の姿に繋がるのだそうです。
彼の父親は、
妹の不注意や小さな事件にいつもイライラしているように見え、
お兄ちゃんとしてはいたたまれない思いをしたのだそうです。
庇ってあげられなかったということでしょう。

ここからが短絡的というか、
彼特有の論理なのですが、
妻を守れないかもしれないという恐怖に駆られるのだそうです。
それでわたしがへまをやる度に、
彼は平和でいられないというわけです。

ほんの小さな何処にでも起こりそうな事件に、
彼はかろうじて、
怒りで自分を弁護しているように感じもしましたが、
自分のこの怒りのパターンに苦しんでもいるようでした。


追記:この10年前の記事を読み返して、
    後年の彼の夢を思い出しました。

そこでは、中国のある国の衛兵だそうです。
お姫様を対岸まで送り届けるのが彼の役目で、
河を渡っている最中の場面だそうです。
お姫様が対岸にたどり着いたのを見て、
「あぁ、これで死ねる!」と、
ほっと安堵して死んだということでした。
姫はわたしだそうで、これを聞いたとき笑えませんでした。
「それに、俺は捨て駒なんだ。
もうひとりの衛兵は屈強で大人物」と。

この夢から、
彼が自分の尊厳を取り戻すために今生があることが分ります。


posted by 天の鳥船庵 at 15:36 | 夢のメッセージの取り方

2011年07月26日

夢から知る怒りの対処の仕方2副題:怒りを教師にする

*隠した怒りは他人に見える

これまで、窮地を夢で助けられた経験はたくさんありますが、なかでも一番印象的な夢の話しからはじめましょう。

夫と生活をはじめてまもなくのことです。一晩に三つの夢を思い出しました。

A.夫は怒っている。

B.トイレの便器の前で何人かの人と共に、便器の汚物を流すかどうかで議論をしている。

C.小川の橋の下で、少女ふたりは死んで川のなかにうずくまっている。


「助かった!」と思ったのは、夫が怒っていると夢で知らされたことです。
自分の恋愛を心理学的に分析するのは、
無味乾燥で趣味も悪いでしょうが、
この場合は分かり易いのでふたりの間に何があったかを分析的に解説してみましょう。

どの恋愛にもある、
いつも通りの劇的出会いがあって、
奇跡が次々に起こって、
相手に最高の陽性転移をして、
クライマックスを迎えたふたりは、
いつも一緒にいたいと、
多くの時間をふたりだけで過ごすようになりました。

それもしばらくすると、
相手の様子に受け入れられないものを見つけて、
イヤだなと思いはじめます。

夫がわたしのある部分をイヤだと思い始めて、
陽性転移が陰性転移に移った丁度そのとき、
わたしを支えるように、
夫が怒っている夢を見させられたのです。
うすうす感じてはいても、
わたしのなかではまだ陽性転移一色でしたから、
事実を否定したかったのでしょう。
しかし「そうなんだ!」と合点がいきました。
「なんかこのところ話しかけても、
返事がほんのちょっと遅れて、
変な感じたったわ」と、
自分の迂闊に苦笑いです。
当然見えていても、
恋に浮かれたわたしは、
見て感じて手を打たなければならないことを、
無視し続けたのです。
相手を真っ直ぐに見ていなかったのです。
恋の色眼鏡を通して、いい加減でした。

何が気にくわないのか、それは直ぐには分かりませんでした。
彼に「わたしに怒っているでしょう」と言ったんだと思います。
自分でもそう感じるし、夢でも怒っていたからと。

それまでに、
ふたりの間に何があってもまず話し合おうと約束できていたので、
彼は約束通り話をしてくれました。

彼の話は衝撃的でした。

ーつづくー


posted by 天の鳥船庵 at 06:08 | 夢のメッセージの取り方